東京手描友禅の由来

東京手描友禅

経済産業大臣指定(昭和55年3月3日)・伝統的工芸品、東京都知事指定(昭和57年12月24日)・伝統工芸品「東京手描友禅」に認定されています。

東京手描友禅(東京友禅・江戸友禅)の由来

友禅染は、江戸時代の貞享(じょうきょう)年間(1684-1688)に京都の扇面絵師であった宮崎友禅斎(日置清親_ひおききよちか)により創始されたと伝えられています。

扇面絵師として名を知られていた友禅斎が呉服屋の依頼により、小袖に小紋模様の多彩色の図案を描いたのが評判となり、友禅模様として脚光を浴びることとなりました。

徳川家康が江戸幕府を開設したこと(1603年)を契機に大名家の参勤交代制度に伴って、絵師や染師も他の職人達と同様に京から江戸に移り住むようになりました。京のみならず各地方の各種技術・技法の交流がはじまり伝承され、江戸特有の文化にも育まれて、より洗練されたものづくりがされるようになりました。染物には水資源が欠かすことのできない重要な要素となり、このため隅田川や神田川の河川流域には多くの染師や職人が住んでいました。

延宝元年(1673年)に日本橋に越後屋呉服店(現在の日本橋・三越)が開設されて、近年には、その染工場が神田川上流域の高田馬場付近に造られ、多くの染師や染物関連の職種に携わる人達が移り住むようになりました。

特に関東大震災や第二次世界大戦を契機に東京の地場産業として、目覚ましい発展を遂げて来ました。その中にあって東京手描友禅は構想・図案・下絵・糸目糊置き・友禅の色挿し・仕上げまでの工程がほぼ作者の一貫作業となっており、華やかさを抑えて単彩のなかにも秘められた美しさと溢れる気品は、江戸の粋を現代に伝えています。

東京の伝統工芸品

ニューヨークやロンドン、パリなどと並ぶ大都市東京にも江戸の昔から、長い年月を経て東京の風土と歴史の中で、庶民生活の中に育まれた伝統工芸品があります。

時代を超えて受け継がれた伝統的な技術・技法により作られた伝統工芸品は、手づくりの素朴な味わい、親しみやすさ、優れた機能性等が大量生産される画一的な商品に比べて、私たちの生活に豊かさと潤いを与えてくれます。

伝統工芸品は地域に根ざした地場産業として地域経済の発展に寄与するとともに、地域の文化を担う大きな役割を果たしてきています。